いろいろあって、80の父親から家督をぶんどる決意をしました。
家督って言っても、ぼくの親には家も土地も車も財産もなーんにもないですし、単に名目上のことです。
80っていえば、もう、老人もいいところです。
そんな父に一族の責任とか、いつまでも背負わせておいてもしょうがない。
俺も父親同様、財産もないし、築いたものとかもなんもないけど、でも、責任者にならなきゃならないなと思っています。
これまでと何が違うかというと、一族の方針を最終決定する権限を持つということです。
権限があれば、責任もあります。
両親がボケたとき、病気になった時、それを背負うということです。
長男であれば当たり前と思われるかもしれませんが、それを親に宣言するというのは大事なことなのかなと思います。
この時代。
僕たちの親の世代が壊してしまった、この国の形。
核家族化、非同居、そんな後退。
でも、本人たちは、何も思ってないようです。
自分たちは自分たちの年下の世代より当然正しいとしか、考えていません。
幼児や子供世代への指導であっても、自分が当然正しいって、妄信しています。
時代の流れとか、わからないもんです。
例えば僕は今、アニメを作ったりして飯を食っていますが、子供時代、親には邪魔され、禁じられてきたものです。
もし僕があの時、親の妨害にあらがえていたなら、別のキャリアも積めていたかもしれないし、収入ももう少しよかったはずです。それはいつも思う。
末っ子くんが小学生の時、父と3人で旅館に泊まったんだけど、脇で末っ子に自由にポケモンやらせてたら怒り出したことがあったよ。
ポケモンって暗記と関数なんだよね。
何もわかってない。ポケモンがなかったら末っ子は防大に入れてなかったかもしれないってホントに思う。
うちの子供たちは全員、ポケモンやりたくて字を覚えた。
僕もそんな子供たちがいなければ、去年のポケモンのCMの仕事、うまくいかなかったかもしれない。
まあ、親とはいえ、自分とは当然別の人格です。
そして別の時代、別の時代の価値観を持っている人間です。
そんな時代錯誤な人間がリーダーとして、後進である孫やひ孫に強権、影響力を持つことは僕としては堪らないことです。
子、甥っ子、孫たちの盾にならなければならない。
父が自分の型にはまった価値観を押し付けようとしたとき、それは違うと言わなきゃならないし、殴られてでも守らなければならないし、場合によっては倒す。
父から「男は我慢!」と恫喝されてきた従弟は、今何しているのか。
自分が言われてきたのかもしれないことかもしれないけど、それを思考停止で条件反射的についつい言っちゃう自分ってのを自覚させ、我慢させねばならない。
家督を引き受けることは、自分のためではありません。
未来の一族の子孫たちのために、いい加減腹をくくる必要があるのだろうと思っています。
これでもし父が離れていくなら、残念ですが、それは仕方のないことだと思います。
父はそもそも、家族や一族をないがしろにして、それが自分のかっこいいスタイルだと考えている国粋活動家です。
この価値観が変わることは一生ありませんし、もうアタマカチカチな80歳。しかもそのカチカチが<誇り>っていう人間。
彼の活動に協力を要請されたことはありますが、まったく意義が見いだせなかったので断固断りました。
ちなみに、シベリア抑留です。
ロシアに何を期待しているのかと。
国益にどんな影響があるのかと。
まあ、そんなこんなで、自由にやっていただければいいのかなって思ってます。
80の老人だからねー。
でも、ぼくが父から家督を継ぐというと、心細いみたい。
自由にやっていいって言ってるだけなんだけどね。