2018年、僕と細君は末っ子の防大アメフト部の千葉合宿に行っていた。
前年にも行ったのだが、2018年はなぜか小さな野良猫がフィールドにいた。
最初は恐る恐るだったけど、徐々に僕たちやメンバーにも慣れてしまい、練習中のフィールドを闊歩するようになってしまった。
見ると耳に垢がたくさんこびりついていて、頭のあたりに黒く光る、丸いビーズのようなものがついていた。
そのときは、なんか不思議だなと思っただけだったけど、後日、マダニだと知った。
血を吸って、体を水風船のようにパンパンに膨らませていたんだ。
その野良猫は、痩せていて、尻尾も短くて、何より犬のように擦り寄ってくるやつだった。
しかし合宿中の練習中のフィールドに入ってくるので、猫にとっても危なかったし、邪魔だった。
そこで僕は、バイクに乗せて、200mくらい離れた森の中に猫を置いてきた。
その後、猫はいなくなった。
でもどうしてもその猫が気になって、合宿が終わった2日後。
病院に連れて行ってやろう、飼いたいって思って、猫を置いてきた場所にバイクを走らせた。
でも、探しても見つからなかった。
その後、この件を書いたところ、猫というのは自分のナワバリ? 自分の生息域の外には出られない動物なのだということを、知った。
俺はあの猫を川に放り投げるのと、同じことをしてしまったのかもしれない。
今からでも、あの猫を保護したい。
でももう、たぶん・・。
あの猫が人間に媚びるように擦り寄ってたのって、きっと、自分の身体に起きているトラブルを、人間ならなんとかしてくれるって信じたからなんじゃないかなって。
ああ、くっそお。
後悔が止まらない。